お料理が出てくる小説を読もうと思ったら
生真面目なものがやっぱり多めだなぁと思っている「はむすた母」です
今回はこちら
いきなりネタバレしちゃいます
華やかな経歴を持つ主人公が、
自分のお店を短い期間で火事で失い
小学校の給食の調理員になったところから
物語が始まります
給食のルールってきつそうです
この本、平成25年初版なんですが
1食、250円の予算となっています
小学生が食べてくれるものを、
この予算で栄養価まで考慮するとなると
かなり厳しいと思います
家庭の料理だって、栄養バランスを考えてとなると
一食分250円はかなりの努力が必要です
調理師さんたちって、
子供たちとほとんど同じ時間に登校されていますよね
8時半くらいから、12時過ぎまでに準備時間が4時間弱
その間に給食を作らなければならないって、たいへんです
衛生管理の関係で、前日に下ごしらえ不可だから
全てその日に切ることになるし
火を通すものが多いから
巨大なおかまや、お鍋が必須
時間との戦いの中で、緊張を強いられる職業ですよね
この主人公はお店を持ちたい人ですから、
初めは料理を作るルールに違和感を覚えます
それまで自分が思っていた「美味しいもの」が
小学生には通用しないことも、愕然とします
ありがたかった給食
小学生を育てているときって、食卓に上がるものは
小さい子供でも食べられるものに
どうしても偏りがちです
家族の誰かが食べないものは、自然と作らなくなるし
辛いもの、苦いものは避けがちになります
家で作るものは、努力していても同じようなものになりがちなんです
子供って、見慣れないものは警戒します
どんなに「体にいいもの」でも「高級なもの」でも関係なく
信頼している人がすすめても
なかなか食べてはくれません
それは、動物的にはたぶん正しい事だと思います
家で食べられないものを、学校で、みんなで食べることで
偏食が解消せれることは多いです
食べなれないものにチャレンジするきっかけをくれるのは
教室にいるみんなで頂いてこそ
ということは多いのです
多分うちの子たちも、そうやって食べるようになったものが
たくさんあると思います
うちの「兄ちゃんその2」は、我が家の中では好き嫌いがあるほうで
食わず嫌いなところがありました
でも目立つのが嫌いで、負けず嫌いな性格なので
家で食べないものも、給食ではきれいに食べていました
それだけでも、
私は今も とてもありがたい事だと思っています
栄養を取るということ
子供に必要な栄養の中で
いくつかの栄養素が、給食だけで賄われているものがあると
調査で明らかにされたことがありました
娘が通う大学の学食は
朝9時から朝食セットを提供しています
最近、小学校でも
朝食を提供するところが出てきているようです
朝食が大事だと、言葉で伝えるよりも
行動に移して提供してしまった方が
確実に栄養を取ることができるということなのでしょう
この小説の中には、
ネグレクトによる欠食児童の話が出てきます
極端な話だと思われるかもしれませんが
私がPTA活動にかかわっていたころにも
学校内に数人の欠食児童がいること、
給食費を払えないご家庭があることを耳にしています
(払わない・・ではありません)
様々な形で、目立たぬようにカンパが行われて
目立たぬように手が差し伸べられることがありました
「ご飯を作るって、実はすごい大変なことなんだよ」
と、主人公が子供と話すシーンは
そんな現実とリンクして
私にはとても切ないシーンでした
元気にしようと頑張ってくれています
食べ物をつくるということ
何かに真剣にとりくむこと
夢中になるということを表現して
この本は、一生懸命、読者を元気にしてくれます
読後感はさわやかです
主人公はこの本の後も、給食のおにいさんを続けてくれるようで
続編がいっぱい出ています
しばらく、シリーズを楽しもうかと思っています