私の母、『ほぼ75歳母』
スイッチが入ると一つのことに集中しすぎる癖があります。
今回入ったスイッチは「おかたずけ」
どうも、私、54歳母が
スイッチを押してしまったようなのです。
ほぼ75歳母には昔から口癖がありました。
「年を取ったらやろうと思って、取ってあるの。」
というセリフです。
取ってあるものは、
読もうと思った記事の切り抜きだったり、
手芸品の材料だったり、
お料理のレシピだったり、
便利グッズだったりと
それはもう様々です。
我が家の兄ちゃんその1が生まれたころ、
「年を取ったら、やろうと思って・・・」
を、聞いたタイミングに
「初孫ができた今だから聞きたいんだけど、
いつ年を取る予定なの?」
と、たずねたことがありました。
その時は
本人、ひたすら爆笑して答えませんでした。
今年の春、19歳娘が大学に入学のタイミングで
「昔から『年を取ったら』って、よく言ってたけれど
年、とった?」
と、たずねたら、
ほぼ75歳母 「うん、取ったみたい。」
予定通り、進んでる?
ほぼ75歳母 「それがねえ、
思っていたより、できないことがあるみたいなのよ。
次々やりたいこともできるし、
興味も変わってきてるからねえ。
やらないと思うものも増えたのよ。」
足元が危なくなってきてるから、
やらないものは かたずけようか?
ほぼ75歳母 「そうね。いらないものばっかり増えたしね。」
そんな会話をした、その次にあった時、
かたずけが開始されていました。
ほぼ75歳母 「そっちの部屋に、いるものがあるかどうか
見てもらいたいんだけど」
6畳間に、足の踏み場もないほどの、もの、モノ、物。
夜中と言わず、早朝と言わず、
思い立つとガサゴソ、あちこちひっくり返していたそうです。
「何とかしてくれ」と、父がすでに音を上げていました。
ほぼ75歳母 「これなんて19歳娘ちゃんに、似合うと思うの。」
ハートマークがつきそうな勢いです。
ほぼ75歳母 「これは54歳母の高校生の頃のものなんだけどね。」
えーと、サイズが・・・
と、苦笑するしかない19歳娘。
19歳娘がいなかったら、私54歳母、けんか腰になっていたと思います。
自分の親って、なんというか、
軽く笑ってすますことが、なんであんなに難しいんでしょうねえ。
ほぼ75歳母 「え? 困ったわ。
じゃあ、どうすればいいのかしら・・・
捨てちゃうのはもったいないし・・・
捨て方もわからないし・・・」
父が「持って帰って、捨ててくれ」と
サインを出しています。
その日から、服から、食器から、紙類に至る様々なものが
我が家に押し寄せることになりました。
足元をふさぐものが目に付いてきたので
声をかけたことは確かなのですが、
1件の家に、よくもこんなに入っているものだと
驚いてしまいます。
ほぼ75歳母 「この家を建てた時、
98歳母に天袋はいらないよって
言われたけど
やっとわけがわかったわ。
高いところは危なくなるし、
つい物を入れ過ぎちゃうのよね。
何を入れたか、全然覚えてないわ。」
確かに天袋から包装紙の山と、紙袋の山、
タオルの山が発掘されました。
奥の方に何かまだありそうですが、
手が届かないので後回しにしているようです。
夏になって、ほぼ75歳母は股関節を悪くしました。
腰をかがめることができなくなったので、
床から80センチ以上、150センチ以下がベストスペースになり、
それ以外の場所は収納の自由が利かなくなりました。
状況が変わって、かたずけるものが増えています。
これからは「もったいない」基準ではなく
「必要」基準でかたずけることになるのでしょう。
我が家に押し寄せるものも拍車がかかりそうです。
ほぼ75歳母を見ながら、
自分の実の回りを身軽にしたいと
つくづく思う54歳母なのでした。