今年、2023年2月に90歳で亡くなった父のサポート、介護、葬儀、相続等の話を数回にわけてまとめようと思います
家族構成
父は母との2人暮らしです
子供は私ひとりです
数年前から私の住まいの近く、徒歩5分の場所に住んでいます
親族とは電車で5時間程度の距離に住んでいて、それぞれ年に数回以上の交流はありません
母は実務的な事がほとんどできない人で、介護サービスに繋げるところからほぼ全面的に私が判断して手続き等、動くことになりました
デイサービスに行く
手続きの都合で、デイサービスに通うのは11月の3週目からになりました
朝8時にお迎えが来て、5時20分に帰宅
火曜日と木曜日にお願いすることになったデイサービスですが、母はその決まった時間の行動がとても大変に思えたようで、「デイサービスの準備や送迎に関することは私はしたくない」と言い出しました
なんでも私の子供時代に幼稚園の送り迎えが辛くて仕方なかったそうで、今更ながら母にとっての苦手をまたひとつ認識したのでした
私には「 辛くて仕方がない」という程の作業でもなかったので、送迎や準備、デイサービスとのやりとりを引き受けることにしました
私の最初の仕事
予想もしていなかった意外な仕事が待っていました
持ち物に名前を書く仕事です
子育てが終わって、これだけはもう終わったと思っていた仕事でした
まさか持ち物に親の名前を書く時が来るなんてねぇ
大人の男性用の衣類は黒いものが多くて、名前を書くのがとても難しかったです
しかも本人は老眼が進んでいますから、小さなタグに名前を書いたところで見えません
私が困ってツイートするといると、銀色のペンを使うと見やすいことを教えてもらいました
知っている方には当たり前のことかもしれませんが、私にはこの教えは大変ありがたかったです
お迎えが順番が早いので
父は始め、バスのお迎え順番が速いためにデイサービスに到着するまでの時間が長くかかることが不満だったようです
職員さんが気がついて運転席の近くの席を父のために空けてくださったので、その後は「運転手さんがいい腕前なんだよ」とご満悦の楽しい時間になりました
食事の不満から
食事に関する不満は、なかなか面白い騒動を引き起こしてくれました
高齢者施設ですので塩分を控えなければならない方が多く、味は薄めが基本です
父自身も塩分をかなり控えなければならない身ですが
「塩分の問題じゃなくて、出汁が効いてないことが問題なんだ」
と、職員さんを捕まえこんこんと説明し、その後2週間ぐらいをかけてコピー用紙50枚分の「出汁の取り方から始まるレシピ集」を書き上げました
普段からご飯を作る人ではありましたけれど、「こんなもの作ったことあったかな?」と思うようなレシピまで大量に書きあげていました
手書きのそれを眺めている母に向かって
「調理指導員としてママさんを連れていく話を職員さんとまとめてきたから、次回のデイサービスからは一緒に行くんだぞ」
と、言い出しました
(ちなみに母は料理が苦手です)
そして、家に買い置きしてあった出汁の元になる昆布や鰹節、干し椎茸やインスタントのお出汁、調味料をデイサービスに持ち込む準備を始めました
「なんだか変なところにスイッチが入ったみたいだね」と母と見ていたのですが、お迎えのバスに母を本気で乗せようとするので
「ごめんね
今日ママさんは定期検診で病院に行かなきゃいけないのよ」
と、それから何回かごまかすことになりました
おやつのお買い物タイムで
父のお世話になったデイサービスでは、リハビリも兼ねてお金を使う機会を作っていました
おやつ類やいくつかの野菜を格安で提供していて、このデイサービスの人気イベントでした
父はここの価格の安さに目をつけて、ここで仕入れたものを知り合いのお店に卸そうとデイサービスに数十万円を持って行きました
職員さんが荷物の中のお金に気がついて、私のところに電話をくださってこのことが発覚しました
それからは父がお金、印鑑や通帳、保険証やマイナンバーカードなど「いつものリュック」に貴重品を入れるのを、送迎バスに乗る直前に取り出し、帰宅直後に戻すミッションが加わりました
常識的な判断を父に求めるのは、難しくなってきたんだなと思う出来事でした
デイサービスがあるから
食事の味がしないとか、お風呂が寒いとか、カラオケばかりでつまらないとか、文句の多い父でしたが
「今日はデイの日か?」
とたずねることもよくありました
何かしらデイサービスに出掛けて行ってやりたいことがあったようです
ただ時間感覚のズレは、デイサービスに通うようになってもあまり変わりませんでした
12月に入ってしばらくすると
「そろそろデイからお迎えが来るから」
と言って、夜中の2時過ぎに玄関のドアを開け放すようになりました
寒さで気がついた母がドアを閉めても、30分もするとまた開け放たれるの繰り返しが続きほとほと参りました
ケアマネージャーさんにもご相談しましたが
「鍵を認識しているので、諦めるしかないと思います」
と、言われてしまいました
ケアマネージャーさんとの面談
母がこの日は用事があったので、私の自宅でケアマネージャーさんと12月の面談をしました
ベッドからの起き上がりに苦労するようになってきた父のために、介護ベッドを導入を検討しました
コロナ禍、病院への入院が難しいとの報道が増えていたので、家で看取りをすることが可能かどうかケアマネージャーさんに尋ねました
残念ながら現在、私達が住む地域には訪問の医師、看護師がいないそうで
「何事かあった時には、迷わず救急車を呼んでください」
と、ケアマネージャーさんに指示されました
後に、この時この相談をケアマネージャーさんとしていたことが、とても役に立ちました
助かりました
この時期の困り事
実はデイサービスに行くようになる少し前からテレビの通販番組で商品を見て、電話で購入するという困り事が増えていました
携帯電話の充電が切れて話ができなくなった時に「これはチャンス」と故障したことにして父の携帯電話を取り上げたのですが、
母の携帯電話を使って勝手に買い物をすることが幾度かありました
こういう状況の時、定期便と呼ばれる1度注文すると毎月同じものが届くというパターンの商品がとても困ります
いくつかは通販会社に連絡してストップしてもらいましたが、箱を開けて中をいじってしまったものはお支払いしたものもありました
宅配便の方が「受け取り拒否」という形で返送手続きをしてくださったものもあります
父から取り上げた携帯電話の解約手続きも、なかなかに大変でした
「解約の手続きには、ご本人様が窓口に来ることが必要です」
「窓口に来られない場合には、所定の委任状にご本人様が署名捺印したものをお持ちください」
「意思確認の電話をご本人様にさせてください」
こちらは、窓口の方のこれらのリクエストに答えられる状況ではありません
結局、同居の家族である母が窓口で父の状況を説明することで解約の手続きをさせていただきました
この時の経験から、母の持つ携帯電話は早めに私の契約する物と交換しようという話をしています
通販に関してはいろいろ混乱もある中で、本人は最後まで買い物をしている気分だったようです
「クリスマスケーキを注文しておいたからね」
「年越し蕎麦が届く予定だ」
「少し贅沢なおせち料理を頼んでおいた」
12月の20日過ぎになったころから、父はそんなことを言い始めていました
後に
「何か届いたの?」
と、母にたずねたところ
「残念ながら、なんにも届かなかったのよ」
と、笑っていました
12月3週目
「具合が良くない
微熱がある」
と、デイサービスから連絡があり父が早退してきました
世間では、コロナ患者が爆発的に増えている時期でした
本人は
「そんなに具合が悪いわけでもない」
と、言いましたが大事をとって早めに休んでもらいました
12月26日の朝
デイサービスに向かうための見送りに行くと
「体の調子が悪くて起きられない」
と、言います
迎えに来てくださった職員さんが部屋まで入ってくださいましたが
「全身状態が良くないですね
今日はお休みにしましょう」
と、車に戻られました
12月29日の朝6時半頃、母から電話が入りました
トイレに行きたいという父を助けようとして、巻き込まれて一緒に転んでしまったというのです
母自身は何とか起き上がったものの、倒れた父を起こせないと電話をかけてきたのでした
この日から年末年始の休暇に入った主人と一緒に、私は両親の家に向かいました
駆けつけてみると、トイレ近くの廊下に父が倒れていました
口からは泡を吹いています
話しかけても返事がありません
迷わず救急車を要請しました
次回は「入院騒動から入居施設へ」です